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「おもしろい大人との出会いが、自分の世界を広げる−中島智弘さん①−」

今回は、現在出版関係の仕事をなさっている、中島智弘さんに話を伺いました。

現在の中島さんは、出版プロデュースの会社で、WEBディレクターとして働く傍ら、シェアハウスの運営や、その他にも様々な活動をされています。

D×Pの第二期クレッシェンドのコンポーザーとしても、参加していただいていた中島さん。様々な経験を、自らの意志で選択してきていらっしゃることがクレッシェンドを通してよくわかりました。そんな彼は、単位制の通信制高校出身。全日制高校への入学は希望せず、中学卒業後の進学先として自ら通信制高校を選んだといいます。

通信制高校へ行くことになった経緯や、中島さんにとっての高校生活はどのようなものだったのかを伺ってみました。(書き手:西野可奈子)

 

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―高校進学前、中学時代はどんな学生生活を送っていましたか?

勉強は嫌いで、授業中についていけない所を、とにかくよく質問する生徒でした。勉強で分からないことがあれば、すぐに先生に質問していました。しかしある時、先生に「授業を止めないで」と言われてしまいました。

 

授業外に他の科目の先生に質問に行くと、自分の科目外のことは答えられない先生が多く、将来覚えてもいないことを、覚えなければならないことへの疑問が湧いて来ました。小さい頃から本をよく読んでいたからか、どのようなことに対しても「なぜ?」という疑問を持つ性格だったこともあるかもしれません。

 

暗記することの意味や、自分が興味のない科目をどうして勉強しなければならないのか、周りの大人にも聞いてみましたが、納得できる答えは得られませんでした。

友人に聞いても、「良い点を取るため」という答えが返ってくることがほとんど。そもそも勉強が嫌いで良い点を取りたいという意欲もなかったので、自分にとって腑に落ちる答えにはなりませんでした。

 

ある時、担任の先生に「どうして勉強をしなければならないのか」を聞いてみたところ、「君は勉強しなくていい」という答えが返って来ました。

先生としてはそこまで本気ではなかったかもしれませんが、自分は諦められたのだと思いました。中学1年生の後半頃には、学校へ毎日は行かなくなる日々が続きました。

 

―親御さんは心配されなかったですか?―

親には怒られ、力尽くで僕を学校へ行せようともしました。しかし、行かせようとされればされるほど、余計に行きたくなくなってしまいました。

時間が経てば、親もだんだんと力尽くで学校へ行かせようとすることはなくなり、家にいる間にコミュニケーションを取るためのボランティアの大学生を、毎週1回家に呼んでくれていたのを覚えています。

 

―その間、家ではどんな生活を送られていたのですか?―

本が好きだったので図書館へ行って本を読んだり、ゲームをしたり、パソコンの勉強をしたかったので、パソコンの教室を自分で選んで通っていました。

ボランティアのお兄さんとは、キャッチボールをしたり、話をしたりしていました。

学校の授業にも、好きな授業の時には登校していました。

 

―自分で通信制高校を選んだと伺いましたが、なぜ通信制高校だったのですか?―

そもそも、はじめは高校に行くつもりがありませんでした。

「大学進学のため」と言って周りが高校受験を始めるころ、大学に行ってやりたい勉強があった訳でもなかった僕は、高校へ行く意味が分からなかったのです。

 

また当時、レーシングカートを始めた頃で、高校に入ってもカートは続けたいと思っていました。そのためには、アルバイトをしてお金を稼ぐ必要がありました。当時全日制の高校しか知らず、高校に入ったらアルバイトやカートの練習が思うように出来なくなると思っていたので、高校へは行かずに、アルバイトで生活しようと考えていました。

 

しかし、尊敬していたレーシングカートでの仲間の言葉で、高校へ進学しようと意志が変わりました。

「高校卒業資格がないと出来ない仕事だってある。もし大学や専門学校に行きたいと思ったら、高校を卒業すれば進学することだって出来る。自分の可能性を広げるためにも、高校は行ったほうがいい」

 

それまで、友人に聞いても「大学へ進学するため」というような答えしか返ってこなくて、特にやりたい勉強がなかったのでなかなか腑に落ちなかったのですが、この言葉を聞いて、自然と納得することができました。

でも、カートは続けたいし、アルバイトもしないといけない。

 

そんな中で、単位制・通信制高校を見つけました。高校卒業資格も取れて、毎日学校へ行く必要が無いならアルバイトも練習も出来そうだと思い、家から一番近かった通信制高校(単位制で、週に数回通学するタイプの高校)への進学を決めました。