NPO法人D×Pでは、様々な場所でご講演させて頂く機会があるのですが
ある時の講演後、ご丁寧にお手紙を下さったのが中谷さんでした。
「私も通信制高校に通っていたので、是非何らかの形でご協力させてください。」
とお声かけ頂き、今回は中谷さんについての記事を公開させて頂くこととなりました。
中谷さんにとって通信制高校とはどのようなものだったのでしょうか。
お話を伺ってみました。
−現在はどういったお仕事をされていますか?−
「現在、私は母親の介護をしながら、様々なボランティア活動をさせて頂いています。
以前は、福祉のお仕事をしていました。知的障がいをもたれている方の入所施設や、作業所、就労支援のお仕事に関わらせて頂いていました。」
−以前のお仕事を離れられたきっかけはなんだったんですか?−
「私の仕事は、人を援助する専門職です。
私は、仕事に誇りを持っていました。仕事が大好きでした。
しかし、母の病気がきっかけで、本当に大切なもの、守りたいものを
心から見つめ直しました。私は、仕事より、家族を守ることを選び仕事を離れ、
現在、家族の支えやボランティア活動をし、自分磨きをしています。」
−なるほど。今のお仕事と繋がる部分もあると思いますが、
通信制高校をお選びになったときのことについて教えて頂けますか−
「私は、中学3年間、不登校を経験しました。
なぜ、学校に行かなくなったのかというと、
自分の心を見つめ直したかったからです。どの様に生きていけばよいのか、
突然、分からなくなってしまいました。
"なぜ生きているのか""生きるとはどういうことか"、
誰も教えてくれない事ですので、自問自答の毎日でした。
今、振り返ると、学問より大切な事を学んで考えていた様な気がします。
勉強は、手につきませんでしたので、結果として
通信制の高校しか進路選択がありませんでした。」
−では、入学された通信制高校の生活ではどのような生活をされていたのですか?−
「16歳で、通信制の高校に入学しました。
入学し、担任の先生が私に対してお話して下さった始めの一言は、
"私の様に中学を卒業してすぐに入学して学んでいる方は、とても少なく、
様々な境遇の方が学ばれている高校なので、イメージする高校と違うの
でびっくりしないでね。"という言葉でした。
その言葉の通りでした。
子育てしながら学ぶ方、働きながら学ぶ方、病気・障がいをもたれて学ぶ方、編入されて学ぶ方等。お出会いした方の数だけ、通信制高校の生活は、皆それぞれ違うものでした。
通信制の学びは、自主自立です。
自分で、目標や夢、生活スタイル等を選ぶ「自由」を与えられます。
私にとって「自由」ほど、厳しいものはないなと思ったのが、高校時代でした。
"どの様に人生を選びどの様に生きていくかはあなた次第"
それが、通信制の学びの中で、一番の難しさで大変だったことでした。
その学びが、私の人生の中で大きな支えになっていると思っています。」
−学校生活と並行して取り組まれていたことなどはありましたか?−
「私の趣味は、パッチワーク(キルト)です。
高校時代、ひたすらにキルトの練習をしました。
高校時代は、美術の課題でこどもが遊べる様な50音ブロックを自分で考え、
牛乳パック等を使い手作りでもの作りをしていました。
大学時代も、キルトの練習を続け卒業前に美術展に応募し入選しました。
今も続けており、3度程入選しました。」
(趣味であるパッチワークの写真)
−では、通信制高校の生活を支えた下さった方のお話などを教えて頂けますでしょうか?−
「中学時代、とてもお世話になった児童相談所の先生です。
"しんどいのは、つらいのは今のうちだからね。
自由になれるのは時間の問題だからね。"
私は、支えて頂いたことがきっかけで、
"わたしも人に光を射せる事の出来るような温かい優しい相談員になりたい"
という夢を持つ事が出来、大学で社会福祉を学びました。
もう一人、私の人生に欠かせない人は、当時5年程お付き合いしていました、恋人です。
彼が、私の人生の道しるべとなって支えてくれました
。私が一人で歩けるようになるまで、一緒にいてあげる。
といって、今現在は、彼も彼自身の人生を歩み続けていると信じています。」
−そのような通信制高校の生活があったからこそ、今に繋がっているものはありますか?−
「通信制の高校は、学びのスタイルを自分自身のペースで選べる事です。
私も、ゆっくり学びたかったので、
大学進学に向け、20歳まで高校で学んでいました。
人生は、決まったレールの上を歩くのが自分にとって本当に幸せかどうか。
そのレールを外れても、又新しく自分の道を自分らしい人生の歩みを見つけてゆけばよい
と言う事を私は、様々な方とお出会いして感じていることです。
私は私らしく、あなたはあなたらしく。
人との出会いは、決して偶然ではなく必然です。
必要な方には、必ず何かの形で出会えます。
だから、人との出会いや周囲の方への感謝の気持ちを常に忘れないことが、
生きていく中で大切な大切な事だと思います。
(いつまでも感性や感受性を大切したいと話されていた中谷さんが撮影された写真)
そして、自分を必要としている方が必ずどこかにいるはずです。
優しくしてもらったら、優しさをその人にかえせなくても誰か他の人でもいい。
優しさの恩返しの繰り返しが出来れば素敵だなと思います。
優しい心を忘れず、やさしい温かい言葉をつかえるように私は、
高校時代の人との出会いで学んだきがします。
人と人とは必ずどこかでつながっています。
もし、困っているかた、悩んでいる方、周りにいらっしゃれば、
自分が元気なときでいいので、優しい言葉と笑顔をその方に分けてあげてください。
あなたはあなたのままでいい。ありのままでいいと思います。
時には立ち止まり、気持ちのいい場所に立ち周囲を見渡し、
休んでもいいんですよ。そんな時間が、人生の中には必要です。
あなたにとっての幸せ探しをしてみてくださいね。
近くに幸せはたくさん見つかりますからね。」