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-そして、高校を辞めて通信制に入ったんですね。学校生活はどんなものでしたか?-
「退学してから、次の月には通信制高校に入学しました。
入学した通信制高校は全日制(課程)のある高校です。
当時、体裁をすごく気にしていたので、全日制課程がある高校をあえて選びました。
今思えば、あの頃の私にとって、通信制に行くという選択は“マイノリティになる”
感覚だったんです。だから少しでも、学校名だけでも、マジョリティに見えるように…
って思っていたんだと思います。
学校は月2回のスクーリングがありました。
スクーリングは規定の回数があって、加えて半期に一度のテストがありました。
前の高校で結構単位を取れていたみたいで、
あまりスクーリングに行く必要がありませんでした。
スクーリングって言っても、レポート提出日に学校に登校して、その場でレポートをして、
提出してから帰るみたいな感じですけどね。」
-学校に行く必要があまりなかった分、普段はどのような生活をされていたのですか?-
「私が通信制高校に通わせてもらうための条件は、
“大学進学を目指す”ということでした。
でもその頃の私は、文字を見るのも嫌になっている状態だったので、
勉強なんてできる訳ないんです。唯一できることは、自分と向き合うことぐらい。
その頃、毎日、毎日、何時間もかけて日記を書いていました。
やっとできた“自分の時間”を使って、溜め込んでいた感情や思いを吐き出すことから
始めたんです。」
-では、通信制高校生としての生活を支えてくれたのは誰だったんですか?-
「家族、特に母でした。
不登校になってしまった時は、母親を困惑させてしまって、
色々衝突したこともあったんですが、通信制高校に転学して、
家にいることが多くなった私にとっては、母は唯一の話し相手でした。
話をしてみると、
母親の“一人の人間としての価値観”に改めて気付かされることが多くて。
なるほど、母親はこういう想いで生きてきたのかと思ったり。
そうやって、
今までできなかった多愛のない会話を重ねることで、お互いの考えていることや、
想いを、改めて伝え合うことができました。
今になってみれば、高校生という多感な時期に、
家族と面と向かって話をし続けるという機会は、
本当に貴重な時間だったなぁと思います。」
-通信制高校を卒業してから、すぐに大学に入ったのですか?-
「いや、そんなにうまくいかなくて一回目の受験は失敗しました。
そして浪人生活を送りました。浪人中は、予備校に通いながら勉強をしました。
でも、この時は毎日プレッシャーを感じていました。
今まで家族を悲しませてきたし、色々迷惑をかけてきたから、もう失敗はできないって。
でも、いざ受験になるとうまくいかずに志望校には落ちてしまいました。
自分の中では、もうこれ以上の浪人はないと決めていたので、
その年、なんとか受かった山梨にある短期大学に入学することになりました。
でも、どうしても四年制大学への合格という、
通信制高校に入れてもらった時の“両親との約束”を果たさなきゃと思っていて。
それで、短大に入学をした後は、
目標を“四年制大学への編入”と決めて、編入試験に向けた勉強を続けていました。
その結果、無事に法政大学の編入試験に合格し、
昨年度から3年生の学生として法政大学に通っています。」
(大学で復興支援を目的とした物産展を開催した際の写真)
-通信制高校に通ったからこそ得る事でのできているものはなんですか?-
「今だから分かるんですけど、大きく2つあるかなぁと。
まずは“本当の自分と思う存分向きあうことができた”ということ。
そして“家族との信頼関係を築くことができた”ということです。
私にとって、通信制高校の時間は、“充電期間”でした。
それまで、立ち止まることを許されなかった環境だったので、
自分の心の声に真剣に向き合うこともできていなかったと思うんです。
でも、通信制高校に通うという選択をしたことで、一度、立ち止まって、
18年間で築き上げた“自分“というのを再定義することができた…そんな感覚が強いです。
自分を掘り下げる作業はとても苦しいものだと思うんですが、
今の自分を理解することで、未来の自分の可能性を前向きにイメージすることができます。
そして、結果的に私は夢を抱けるまでになりました。
私にとって“通信制高校を選択する”ということは、
生まれて初めて“周りの人と違う選択をした”出来事でした。
大多数の高校生のように順風満帆な学生生活を送ることはとても楽しいことだと思います。
でも、“自分が自分らしくいられる”選択を“できる”ということは、
その時点で、もっと意味のあることができていると私は思うんです。
たとえ遠回りをしたとしても、自分と向き合い“こうしたい”“こうなりたい”という
強いイメージを持っていれば、人は自ずとその想いに動かさるものです。
私の今までの人生はそれの繰り返しでした。
だから、明るいイメージを持つことを諦めちゃいけないと思うんです。
今が本当に辛いなら、これ以上の辛さは未来にはありません。
方法論ではなくて、“こうしたい”“こうなりたい”という自分の中でのイメージが、物事を成し遂げる強い原動力になってくれるのだと私は信じています。」
(次週は新たな卒業生をご紹介します!)